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聖歌は生歌

聖歌は生歌

典礼聖歌

1960年代「第二ヴァチカン公会議」の『典礼憲章』で各国語の使用が認められるまで、
  西方カトリック教会の典礼(礼拝)のことばは、アドリア教区で使われていた
グラゴル典礼の古代スラブ語を除いてラテン語だけでした。
確かに、それは、グレゴリオ聖歌をはじめ、ラテン語による、数々の「ミサ賛歌」や
典礼で使われる名曲をうみましたが、
その一方で、会衆の典礼からの遊離、聖歌隊のエリート化も進んだのです。

ところで、それまで典礼のことばがラテン語だけということは、言い換えれば「宣教する人の
ことばで」典礼が行われていたわけです。しかし、「使徒たちの宣教」の
2章2節-13節のように、「宣教される人のことば」で『聖書』が伝えられ、
典礼が行われることが初代教会からの伝統であり、原則でした。
「第二ヴァチカン公会議」の導き出した典礼の国語化は、
この初代教会の伝統に戻ったものと言えるでしょう。

もちろん、ラテン語の典礼や聖歌もローマ典礼の伝統として否定されるものではありません。
特に、グレゴリオ聖歌は、ことばを生かし、祈りを深める聖歌として、
教会が大切に育んできたもので、その意味でも、すべての聖歌、祈りの母ということができます。
しかし、歴史的に見ると、ラテン語の典礼や聖歌はキリストや初代教会から始まったわけではありませんし、
言語文化の全く異なる日本人にとっては、ことばの壁があることも否めない事実です。

『典礼聖歌』は、この、グレゴリオ聖歌の手法と精神(こころ)を受け継いだ、
「日本の祈りのこころ」ということができましょう。
『典礼聖歌』も基本は、ミサの式次第、ミサ賛歌さらに「教会の祈り」にあります。
これは、グレゴリオ聖歌も同様で、その意味では、『典礼聖歌』は、
どの時代の、どの地域の、どの聖歌よりも、グレゴリオ聖歌に近いものです。

このホームページでは、これら、『典礼聖歌』の手法を探り、その神学を明らかにすることで、
その精神(こころ)を深めるお手伝いをしてゆきたいと思います。

とはいえ、これらが、わからなければ、『典礼聖歌』が歌えないとか、
まったく理解できない、というわけではありません。
また、その神学が、すべて、作曲者が意図したこととは限らないかもしれません。

しかし、『典礼聖歌』の基本、「生活の座」(Sitz im Leben)は聖書と典礼にあります。
数多くある答唱詩編も季節賛歌も聖母賛歌も、その他、どの『典礼聖歌』も
「ミサの式次第」「ミサ賛歌」「教会の祈り」と関連付けて作曲されています。
聖ベネディクトの会則の中に「こころを声に合わせる」という
詩編を唱えるときの有名な忠告があります。
「祈りの法則が信仰の法則を定める(Lex orandi credendi legem statuerit)」
という格言もあります。

『典礼聖歌』も同様で、祈りのことば、祈りのこころが、人々と神とに伝わらないなら、
神の国の完成(御国が来ますように)が中心にないなら、
まさに「仏作って魂入れず」になってしまします。
その神学が、作曲者自身が思わなかったとしても、そこには、
「本来の書き手」である、神の意思が、聖霊によって表されているとはいえないでしょうか。
高田三郎自身、著書の『ひたすらないのち』(カワイ出版 2001 )の中で、
「『典礼聖歌は』は、それまでになかった範疇の聖歌で、
典礼、特にその中心をなす『ミサ』の中で
歌われるために作られたものである」(同書120ページ)
と記述しています。

「日本の祈りのこころ」として『典礼聖歌』を深めることで、
その祈りがますます品位あるものとなり、豊かに深まることを願いつつ。

なお、楽譜の掲載と、音源のダウンロードは、著作権の問題でできませんので
これらについては、販売されている楽譜とCD をご用意ください。


【『典礼聖歌』の楽譜】
       現在、市販されている『典礼聖歌』の主な楽譜には、以下のものがあります。

     1=『典礼聖歌』合本(あかし書房)
       教会で一般に用いられているもの。伴奏譜と会衆用がある。『典礼聖歌』の基準となる楽譜。
     2=『典礼聖歌 合本出版後から遺作まで』(オリエンス宗教研究所)
        同じく合本以降の曲で、T.S. のもの。
        『カトリック聖歌集』(光明社)374「ロザリオの珠」(高田留奈子作曲)も掲載。
     3=『女声合唱のための 典礼聖歌 雅楽の旋法による聖母賛歌』(サンパウロ)
       T.S. 作曲の女声合唱版。合本より高めに移調され、音と歌詞も一部修正されている。
     4=『混声合唱のための典礼聖歌』(カワイ出版)
       3の混声合唱版。
     5=『合唱のための典礼聖歌 神のみわざがこの人に 付 主があなたを祝福し』(カワイ出版)
       3と4に収められなかった、T.S. 作曲の二曲。
     6=『男声合唱のための 典礼聖歌』〔第一集~〕(東海メールクワィヤー)
       四と五から須賀敬一氏による男声合唱への編曲。続刊の予定。

楽譜の入手方法、価格については、各出版元へお問い合わせください。

【歌詞と聖書の引用】
このホームページでは、『典礼聖歌』の歌詞は、原則としてあかし書房発行の『典礼聖歌』合本から、
「教会の祈り」は『教会の祈り』(カトリック中央協議会 1973 )から、
その他、『聖書』は『聖書 新共同訳』 (日本聖書協会 1987) から、それぞれ引用しています。
これら以外からの引用については、そのつど記述いたします。

【おことわり】
作曲者の氏名で、高田三郎の「高」の「鍋蓋」の下の「口」は、本来「はしご」ですが
ソフトやサイトによっては機種依存文字となり、
また、ブラウザによっては十分に対応できない場合がありますので、
このサイトにおいては「高」とさせていただきます。
ご理解のうえ、なにとぞご了承ください。
                                                 
 



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